あんかけ大聖堂

サークル「とろみ原理主義」天空寺もやしのブログです。

『チャイルド・プレイ』感想 新たなチャッキーが巻き起こす「怪奇!Alexa殺人事件」とは

※この記事ではやたらめったらAlexaが人類に反旗を翻す話をしますが、

Alexa及びamazonを貶める意図は一切ありません。スマートスピーカー、おもしろいよね。

 

チャイルド・プレイ』すごいカチッとしてよくできてました

 

childsplay.jp

 

しかしですね……わたくし天空寺もやし

『戦慄怪奇ファイル コワすぎ』シリーズが大好きなので!

体が!どうしても!トンチキ要素を!求めてしまう!これは性(SAGA)!

それ以外は本当によくできていたと思います。

 

この映画の成り立ち的な話をすると

凶悪殺人犯の魂が宿った人形を巡って起きる惨劇を描いた『チャイルド・プレイ』シリーズ(調べたらめっちゃシリーズあった)があって

そのリメイク版として『IT/イット "それ"が見えたら、終わり』(まだ観てないんですよね…観ないと…)のプロデューサーが携わって出来たこの『チャイルド・プレイ』があるって感じなんですよね

 

また、リメイクにあたって

ただのチャッキー人形に殺人犯の魂がブードゥーの呪術で込められて〜みたいなオカルトが廃されて

代わりにチャッキー(劇中の商品名はバディ人形)は高性能AIを搭載した人形という設定になっています。

Alexa積んだAIBOみたいなもんですね(ビビるくらいかわいくないけど)

Amazonの代わりにカスラン社という巨大企業が存在していて

そこの商品と連動があるという設定

電気やテレビをつけ消ししてくれて自動運転車まで呼んでくれる

現代的どころかちょっと先の未来ですね

 

さて、ここまで読む限りだと

凶悪殺人犯の魂がオーバーソウルされた旧シリーズのチャッキーに比べて、

バディ人形くんには殺人人形になりそうな気配はさっぱり見えません

どういうことでしょう?

そう!ここからが真骨頂!

 

開始5分でわかるシーンなので喋っちゃうんですけど

まず大前提として

なんと!

バディ人形くんたちは貧しい労働者たちが鞭打たれながら!

手作業で!作られています!

は?

は??

完成した人形を梱包する仕事とかじゃないですよ

パーツごとにバラけてるバディ人形を組み上げて

AIチップなんか調整してそれを組み込んで箱詰めする所まで

その全工程を労働者が手作業でやっております

なんたる職人技!これが手作りの持つ温かみというやつですね!

セキュリティガバガバかよ!

 

しかもこのバディ人形工場の労働環境が劣悪!

ある男性労働者は、ちょっとぼーっとしていた所を引っぱたかれ

今作業している人形を作り上げたらお前はクビだ!と言われる始末

いや、普通に考えて今やってる仕事終わってからその通告しないと

今やってる仕事へのモチベ下がるなんてもんじゃないでしょ…

と思ったそこのあなた!

 

大正解です。

 

怒った労働者は組み立て中だったバディ人形のAIからあらゆる制限を削除!

(だから梱包とかだけやらせてあとはオートメーションにしたらよかったじゃん…)

どんな残虐行為もどんな汚い言葉も制限されない完全に自由で完全に無垢なバディ人形が生まれたのです!

(ちなみに労働者は以前は路上生活者だったため、

解雇のショックからかこのバディを完成させたのちに自殺してしまいます……)

人災じゃん!完全に人災ですよこれは!

貧困から来る過酷な労働環境が生み出した無垢なるモンスター!

彼はこれからいったいどうなってしまうのか!

 なんとこの後、不良品としてきちんとお店に返品されることになります

そりゃそうだ。

目はたまに赤く光るし言葉はノイズ入るしでどう見てもロクなもんじゃないからね。

 

 

しかし…

お店のカスタマーセンターに勤務していた主人公の母親が

うまくいかない息子との関係回復のためにプレゼントとして

パクって持ち帰ってしまいます…

ああ!主人公の家に正規品のバディ人形を買えるお金さえあれば! 

 

そんなこんなで主人公のもとにやってきたバディ人形くん、

なんかいろいろバグってて主人公の名づけを受け入れず(それにしてもハン・ソロはねーだろ)

勝手にチャッキーを名乗ってしまいます!(なんで…?なんか布石置いてた…?)

でもそれ以外は本来の友達ロボットとしての役割をきっちり果たして

主人公のさびしい心を癒してくれる本当の友達となり、絆を深めていきます。

うーんいい話だなぁ~~~

 

で、話が終わればよかったのですが、残念なことにチャッキーには倫理観も制限もありません。

チャッキーの主人公への親愛はどんどんエスカレートしていって

しまいには主人公を傷つけたり、苦しめたりする存在を次々と”始末”しはじめてしまうのです。

狂気に陥ったチャッキーから主人公は逃れることができるのか!

この先のお話は実際に見てもらうとして

 

 

今作のチャッキー、犯行手口が自身の「Alexaが内蔵されている」という点を120%活かしていて

見ていて感心するシーンばかりでした

ライトのオンオフによる不意打ち

部屋中のスピーカーから自分の声を出して居場所をかく乱する

テレビにチャッキーの犯行映像(当然カメラ機能があるので殺害場面をきっちり録画しているぞ!)を見せて動揺を誘う

刃物を備え付けたドローンを操る

自動運転サービスをジャックして事故を起こす

もうやりたい放題ですよ

 

でも、将来Alexaが反乱を起こしたらこんな感じなのかな~って想像できてちょっと楽しかったですね

やはりアンチAlexaフィールド発生装置の開発が急がれる…

あとは持ち主がバディ人形の視界を確認できる機能でチャッキーの居場所を追うシーンもあったりして

お互いに機能を活用していたのが好感度高いですね

欲を言うと「デッドコースター」的なやたら手の込んだピタゴラ殺人システム とかあったらハチャメチャ度が増して

(僕の)満足度がより高くなったと思います。

 

 

そういう感じでチャッキーの設定変更は

Alexaやスマート家電が普及しだした現代という背景だけでなく、

凶悪な悪のカリスマが重大な犯罪を起こしていた時代のイメージから

ごく普通の人間が社会の歪みなんかをきっかけにタガがはずれてとんでもない事件を起こしてしまう

この時代の変化に即したアップデートだったと思います

 

不気味なマークハミルの演技が見たい方、

(最後まで気づきませんでしたが、チャッキーの声はマークハミル氏が演じておられます。)

Alexaの反乱が見たい方、

困難を乗り越えてたくましく成長する男の子が見たい方、おすすめです。

 

 

(ここだけの話、バディ人形の造形が可愛くなさ過ぎて劇中では大人気なの笑っちゃった)

 

f:id:moyasi_you2:20190723084030j:plain